エアデールテリアとは
名前の由来となったエアー川流域 [ 撮影:杉浦市郎 ]
エアデールテリアは、約100年前、英国ヨークシャー州マンチェスター郊外のエアー川流域で、水猟犬として作り出されました。 この地域一帯をエアー渓谷(AIREDALE)と言います。 その地名にちなんでエアデールテリア(AIREDALE TERRIER)と命名されました。 その後、一般猟犬、軍用犬、警察犬として広く用いられ、また、その優美な体型から、鑑賞用としても展覧会を賑わしてきました。 この犬の良さは、近代的な外貌の中に、落ち着いた渋みをひそませ、強靭な体力と、大胆な性格の中にユーモラスな童心を包んでいるところにあります。 猛獣狩りに使い得る唯一の犬といわれる“エアデール”が、またこの上なく、素晴らしい家庭犬であるのはこのためです。
標準書
  • 一般的外貌
    テリアの中でもっとも大きく、筋肉がよく発達し、活発で、かなりコビー( cobby )タイプの犬で、脚及び、躯幹が過度に長い印象を与えない。
  • 特性
    鋭敏な表情、機敏な動作、次の動作に備えて爪先立って待機する姿勢は、眼の表情、耳の保持および尾の直立によって表現される。
  • 気質
    外向性で、自信に満ち、友好的で、勇敢で、賢い。常に敏捷で、攻撃的ではないが臆することはない。
  • 頭蓋
    頭蓋は長く平坦で、両耳は離れすぎず、眼に向かってわずかに狭くなる。頭蓋と前顔部は均整が保たれ、はっきりした長さの違いがない。頭蓋に皺はなく、額の段差はほとんど見られず、頬部は平らにして膨隆がない。前顔部は眼のところまでよく発達し、皿状凹みを呈さず、また眼下で急に落ち窪んでいない。しかし僅かの彫りがあって、外貌がくさび形にならず、地味にならない。前顔部の強さが望ましいことから、上下顎部は深くて力強く、それに付着する筋肉は逞しい。頬膨れは好ましくなく、頬部が丸く、膨れた表情を呈する顎部の過度の発達はよくない。口唇は締まっていて、鼻は黒い。
  • 暗色で小さく、出眼ではなく、鋭敏で賢いテリア的表情に富んでいる。明るく、不遜な表情はよくない。
  • V字形の側方保持で小さく、犬のサイズと釣り合いが取れている。折り畳んだ耳の線は頭蓋水平面よりも上方にある。垂れ下がった耳と高すぎる耳はよくない。
  • 口唇
    歯と顎は強い。鋏状咬合( Scissor bite )、すなわち上歯が下歯に密着して覆い、顎に対して垂直に附着しているのが望ましい。しかし水平咬合( Vice-like bite )は認められる。上顎突出( Overshot )または下顎突出( Undershot )は好ましくない。
  • 輪郭明らかで、筋肉がよく発達して長すぎず、太くなく、肩胛部に向かって徐々に太くなり、喉にたるみがない。
  • 前躯
    肩胛部は長くて、後方によく傾斜し、肩胛骨は扁平である。前肢は真っ直ぐで、骨は太い。肘は躯幹に垂直に附着し、体躯の両側で自由に動かせる。
  • 躯幹
    背腰部は短く、強く、水平で一直線をなし、たるんで見えるのは良くない。腰部は筋肉逞しく、肋骨は十分な弓形をしている。背腰部が短く、肋部が発達した犬は、肋部と腰との間に殆ど隙間がない。背腰部が長いと、たるみが見られる事もある。胸は深く、肘と同じ位置に来る。しかし体幅は広くない。
  • 後躯
    大腿部は長くて力強く、筋肉逞しい下腿に連なり、膝関節は適度に屈曲し、内方にも外方にも向いていない。飛節は適度に低く、後方から眺めたとき左右が平行である。
  • 小さくて丸く、引締まっていて、内趾に厚みがあり、弾力に富む。跣は適度に盛り上がって、内外に偏らない。
  • 断尾する場合:尾付の附着位置は高く、軽快に保持されている。背部に向かって巻縮せず、適度な太さと長さを有する。慣例によって断尾される。尾の先端は頭蓋の天辺とほぼ同じ高さにある。
    断尾しない場合:尾付の附着位置は高く、軽快に保持されている。背部に向かって巻縮せず、適度な太さと長さを有する。
  • 歩様
    四肢は前方にまっすぐ運ばれる。前肢は体躯の両側で平行に自由に動く。犬がものに近づくとき、前肢は真っ直ぐなフィンのように前進し続け、左右前肢の間隔は左右両肘の間隔と同じである。前進力は後肢に負う。
  • 被毛
    剛毛で密生し、しかも針金状で、毛むくじゃらに見えるほど長すぎない。真っ直ぐに密集し、躯幹と四肢を覆う。上層毛は剛直な硬い針金状で、下層毛はそれより短く軟らかい。最も剛直な被毛は縮れているか、ごくわずかに波打っている。縮れた軟らかい被毛はよくない。
  • 毛色
    躯幹の鞍状部、頸および尾の上部は黒色または灰色である。残りは茶褐色である。耳の橙褐色は他の部分よりも濃い場合が多い。そして頸と頭蓋のわきに毛色の濃淡が認められる。左右両肢の間の前胸に僅かの白色があるのは容認される。
  • 大きさ
    牡犬の背の高さは肩頂から測って58-62センチ(23-24インチ)、牝犬は56-59センチ(22-23インチ)である。
  • 欠点
    上記で述べた諸点からの逸脱はすべて欠点である。そして欠点の軽重は逸脱の程度に比例する。
  • 注意
    牡犬の外見上正常な二つの睾丸は、陰嚢中に完全に下りていなければならない。
    秋元佐一郎訳酒井清孝改訂2000年10月30日
    日本語訳改訂2003年